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『不思議な少年』 マーク・トウェイン

人間に絶望し、それでも前に進みたい人へ

不思議な少年 (岩波文庫)不思議な少年 (岩波文庫)
(1999/12)
マーク トウェイン

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皆さんはトム・ソーヤの冒険をご存知でしょうか。
タイトルは聞いたことがあるけど、読んだことはない人が多いと思います。
その本の著者、マーク・トウェインの最後の作品がこの『不思議な少年』です。

舞台は16世紀のオーストリア、敬虔なクリスチャン達の小さな村。
サタンと名乗る全能の天使が、3人の少年達の前に現れます。
時間を越え、距離を越え、人の運命を変え、人間の愚かさを次々と暴いていくサタン
人間の本性を垣間見る中で、主人公のテオドール少年は戸惑いを感じるとともに、サタンの完全なる魅力に引き込まれます。

悪を犯すすべも知らないと言ったはずの天使が、なんの罪もない何百人という哀れな小人たちを、顔色ひとつ変えずに殺してしまうとは!なんという恐ろしい行為、見ただけで、わたしたちは吐き気をもよおした。(中略)

しかし一方、彼は相変わらず話しつづけ、あのなんともいえぬ、音楽にも似た美しい声で、またしてもわたしたちの心をつかまえてしまうのだった。わたしたちは、すべてを忘れてしまった。ただ彼の言葉に耳を傾け、彼を愛し、彼の奴隷となり、彼の思うままにあやつられているだけであった。(中略)

「残忍なことをやるのは、良心なんてものを持っている人間だけなんだ。そりゃ獣も人を傷つけることはあるよ。だが、それは無心でやってるんであって、したがって、けっしてそれは悪じゃない。(中略)

悪なんてあるのがそもそもおかしいんだよ。良心なんてものがなければ悪なんて存在するはずがない。ところがだよ、君、この人間てやつは、あまりにも頭が悪いわからずやなもんでね、この良心があるおかげで、下劣も下劣、あらゆる生物の最下等にまで堕落しきってるってわけさ。」
(本文引用)


サタンが示し、少年が見ることになる、わたしたち人間は、あまりに不思議で滑稽です。全てを見下ろすことのできる目で見たときの、人間の心や幸福の頼りないことといったら!
それでも、テオドール少年はサタンの人間批判に対して必死に抗います。その姿からは、不幸の連続で人間不信に陥った、晩年のマーク・トウェインの苦悩がありありと伝わってきます。
また、サタンはいいます。人間には強力な武器があると。
この小説は単なるペシミズムに彩られただけの作品ではありません。
絶望の人生の中でそれでも光を見出そうとした作者の、人にとっての救いの答えを見つめてみてください。


不思議な少年 (1) (モーニングKC (772))不思議な少年 (1) (モーニングKC (772))
(2001/10/23)
山下 和美

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この小説がモチーフになっていると考えられている、山下和美が描くコミック『不思議な少年』も非常におもしろいです。全能の少年が時を越えて戦国に行ったり、ソクラテスに会ったり。
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